2019年11月07日 公開
2022年10月25日 更新
――教科書通りのことを本気でやれば、レガシー産業でも利益を上げられるようになる、ということを繰り返しうかがいましたが、利益が上げられなくて困っているレガシー産業の経営者は、実際には大勢いると思います。なぜ、永井社長にはできるのでしょうか?
永井 自分で言うのもなんですが、一つは、全領域を本気で勉強しているということがあると思います。マーケティングについてはマーケティングオートメーションの本を書いたことがあるくらい詳しいですし、営業についても、デジタル技術や顧客管理、データ分析についても詳しいです。経営学は多くのジャンルを勉強しました。
――やるべきことを、社員にしっかりとやってもらうことも難しいと思いますが……
永井 本当に本気でやっているかと聞かれれば、「まだできることがあったかもしれない」という経営者が多いのではないでしょうか。
――御社はトップダウンが強いのですか?
永井 東集の場合は、子会社化したばかりなので、3カ月くらいはトップダウンの時期です。けれどもそこから先は、タスクフォースメンバーを決めて、それぞれのメンバーがバラバラにタスクをこなすことで成長させようと考えています。
例えば、利益を上げるために、営業活動を頑張るメンバーもいれば、マーケティングを頑張るメンバーも、販管費を下げるメンバーも、仕入れ値を下げるメンバーもいて、それぞれに活動するのです。すると、全体として得られる知見の幅が広がります。誰が何をするのかは僕が決めますが、あとは任せます。
――ちなみに、これまで経営者として失敗したことは?
永井 失敗だと思わないようにしています。あるシステムに何千万円も投資したのに誰も使わなくなったことも、新規ビジネスに失敗したこともありますが、それがあるからこそ次に進めたという面もあるわけで、今振り返ってみれば失敗ではないですね。
――家業を継ぐことを考えなくても、もともと経営者にはなりたかった?
永井 いずれ経営者になっていたでしょうね。子供の頃から、あまり人の言うことを聞けないタイプだったので。サラリーマンに向いていなくて、大学卒業後に就職した〔株〕ジャフコも半年で辞めました。ただ、企業を売買するビジネスがあることを学べたのは、今に活きています。
親などから「これをやりなさい」と言われるのはやる気が湧くのですが、そのやり方を指示されるのはイヤでした。授業を聞いていても、先生に「こういう解き方のほうがいいんじゃないですか」と言ってしまうんです。
今やっていることも同じですね。木材卸売会社を買うことを決めたので、やるべきことは自らによって課されていて、それでやる気が出ています。そして、これまで木材卸売業界にはなかった、自分なりの方法でそれを達成しようとしているわけですから。
《写真撮影:永井 浩》
更新:11月25日 00:05