人生を豊かにする！会社員のためのNPO活動のススメ

2019年04月26日公開
2023年01月30日更新

廣優樹（NPO法人二枚目の名刺代表）

廣優樹

社会的課題の認識は本業にも役に立つ

　そして、社外で「二枚目の名刺」を持って活動することは、会社の仕事にもプラスになるという。

「ある百貨店の社員が、LGBTを支援するNPOの活動に参加したことがありました。その方がNPOのスタッフから話を聞いていて知ったのは、夏に浴衣を着たくても、男性柄の小さなサイズや、女性柄の大きなサイズがなくて困っているということでした。

　そこで、自分の会社の商品企画部に掛け合って、サイズにバリエーションのある浴衣の商品化を実現しました。

　社会的課題とは、言い換えれば、そこに人々の満たされていないニーズが存在しているということです。そのニーズを満たせる商品やサービスを提供できれば、ビジネスとしても成功する可能性があります。社会や人々のニーズを知り、本業のビジネスに活かしていくうえでも、『二枚目の名刺』の活動は有効なのです。

　社会を創る活動は、NPOに関わることだけが選択肢ではありません。例えば私は、地元の町会に自ら手を挙げて参加し、地域のお祭りを活性化する活動にも取り組んでいます。町会というと保守的なイメージがあるでしょうが、今は高齢化が進んでいて、若い人の力を求めています。

　自分が活躍できる場は、意外と多くあるものです。まずはフットワークを軽くして、第一歩を踏み出してください」

《取材・構成：長谷川　敦／写真撮影：長谷川博一》
《『THE21』2019年4月号より》

著者紹介

廣　優樹（ひろ・ゆうき）

NPO法人二枚目の名刺代表

1979年生まれ。慶應義塾大学卒業。オックスフォード大学サイード・ビジネス・スクールでMBAを取得。2002年、日本銀行に入行。在職中の05～07年、経済産業省に出向。09年、二枚目の名刺を立ち上げる（11年にNPO法人化）。14年より商社に勤務。

『THE21』2019年4月号

発売日: 2019年03月09日

この4月から関連法が施行されることもあり、ますます関心が高まっている働き方改革。国を挙げて取り組んでいる問題であるが、単に「残業禁止」「強制的に有給取得」などとするだけでは、どこかにしわ寄せがくるのは確実だ。真に皆が働きやすい社会を目指すにはどうすればよいのか、本特集では企業の取り組みから個人でできることまで徹底追及した。