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エレベーターホールの表示灯一筋の専門メーカー。その強さの秘密とは?

2019年03月14日 公開

島田正孝(島田電機製作所社長)

 

提案営業、中国進出、さらに自社ブランドも立ち上げ

 1993年がピークだったエレベーターの新設台数は、現在は年間約2万3,000台にまで減っている。この変化に対応するため、島田電機製作所は2003年にISO9001:2000の取得や能力・成果型人事制度の構築といった改革を行なった。また、06年には開発グループを発足させた。

「それまではエレベーターメーカーの下請けだけをしていたのですが、自社で製品を開発し、ビルの設計をする建築事務所に提案することも始めました。建築事務所が仕様決定をする支援も行なっています」(島田氏)

 さらに、07年には中国へも進出した。中国ではエレベーターの新設台数が年間約60万台。日本よりもはるかに広い市場だ。

「中国でも日本と同様の高品質な製品を作り、日系だけでなく、欧米のエレベーターメーカーにも納入しています。競合するメーカーはいますが、我々のように高品質なオーダーメイドをしているところは少ないので、差別化ができていると思います。日本では、バブル期とは違ってシンプルなデザインが求められるようになっていますが、中国では装飾性の高いものが人気です。かなり高価なものから安価なものまでニーズの幅も広く、そのそれぞれに応えられるのも当社の強みになっています。

 ただ、中国の場合はオーダーメイドだけだと経営が安定しないので、4割ほどは大量生産の規格品を作っていて、エレベーターメーカーのカタログにも載せていただいています。規格品だとオーダーから納品まで3日しかありませんから、常に生産して在庫を持つ形ですね」(島田氏)

 08年から中国法人のトップを務めている島田氏は、今でも月に1回は中国に行って、取引先への提案営業などを行なっているという。

 さらに、昨年には、自社ブランド『SHIMAX』を立ち上げた。

 

 

「これは、オーダーメイド品ではなく、規格品です。中小のビルのエレベーターには、設置から30年ほど経っていて、リニューアルの時期が来ているものが多い。そのリニューアル需要に応えることを目指して、エレベーターのメンテナンスをする独立系のメーカーに提案していこうと考えています。

 壁に穴を開けなくても設置できる壁掛け型のホールランタンは、開発グループを発足させたときから試作してきたのですが、LEDを使っても、まだ十分な薄さになりませんでした。導光板を使うことで、ようやく実現できたのです」(島田氏)

 島田氏が社長に就任した2013年に、島田電機製作所は、東京都世田谷区から八王子市へと移転した。敷地が広くなり、社屋の3階には600平米もある社員のリフレッシュのための空間が設けられた。机やテーブルの他、ビリヤード台や卓球台、筋トレマシンなども設置されている。広い窓の外には浅川が横たわり、晴れた日には富士山が望める。この場所では、地域の人たちとコラボしたイベントも実施している。

 


島田電機製作所と同じ八王子市内にある美容学校とのコラボイベント(左)と小学生の工場見学(右)の様子

 

「工場(社屋の1・2階にある)の見学会も催しています。2年ほど前からは広報活動にも力を入れていて、今では、当社のイベントやホームページを見てやって来る採用応募者が増えました」(島田氏)

 社員の平均年齢は30代後半と若い。社長自らが面接官を務める採用面接では、応募者のその人らしい姿を見るために、私服で来てもらっているそうだ。今は「第2の創業期」だと話す島田氏は、社員たちとともに、さらなる高みを目指している。

著者紹介

島田正孝(しまだ・まさたか)

〔株〕島田電機製作所代表取締役社長

1969年生まれ。東京都出身。専門学校卒業後、90年に〔株〕内原電機製作所に入社。3年間、出向先の日立工場などで経験を積んだのち、93年に24歳で〔株〕島田電機製作所に入社する。工場長や専務を経て、2008年に、中国の上海に設立した現地法人・島田電機(上海)有限公司の代表取締役に就任。13年に5代目の代表取締役社長に就任、現在に至る。

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