2019年02月01日 公開
2019年02月01日 更新
来年、2020年には、いよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催される。その成功のために様々な準備が進められており、サイバーセキュリティもその一つだ。大規模スポーツイベントは、ハッカーたちの恰好の標的になる。大会運営者にとっては万全を期さなければならない問題だが、では、私たち一般市民にはどんな影響があるのだろうか? サイバーセキュリティを専門とする〔株〕FFRIの社長・鵜飼裕司氏に話を聞いた。
――これまでの大規模スポーツイベントでは、どんなものがハッカーに狙われたのでしょうか?
鵜飼 やはり、最大の標的はオリンピックです。特に、2012年のロンドンオリンピック以降、大きな問題になりました。チケッティングやホテルのオンライン予約が一般化したため、サイバー攻撃の影響が大きくなったのです。
そこでロンドンオリンピックからは、民間の通信会社なども参加して、サイバーセキュリティ対策のための大規模な組織が作られるようになりました。そのおかげで、サイバー攻撃の数は多くても、重大なインシデントは起こらずに済んでいます。大会運営を通じて得られた知見は、日本にも共有されています。
来年の東京オリンピックでは、ロンドンオリンピックのときよりもICTがさらに進化していますから、対策もより強化する必要があります。
――ICTがさらに進化しているというのは?
鵜飼 IoTが進んでいることですね。例えば、ビルやホテルの管理にもIoTが取り入れられるようになっているので、それがサイバー攻撃されれば、何かしら物理的な被害が発生することも考えられます。
――東京オリンピック・パラリンピック組織委員会や日本政府は、どのような体制で対策を立てているのでしょうか?
鵜飼 組織委員会にも、政府にも、専門チームが設けられました。CSIRT(シーサート)と呼ばれています。
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更新:11月10日 00:05