2018年12月17日 公開
2023年03月14日 更新
では、個人はどのように資産運用をするべきか。それは、ノルウェー政府年金基金と同じく、「長期・分散・積立」です。
長期で運用するためには、まず、目標を立てるのがいいでしょう。達成するための目標ではなく、運用を継続するための目標です。目標がないと、途中で運用をやめてしまう人が多いのです。
目標は、例えば、働いているうちから資産運用を始めて、「30年後に3,000万円の老後資金を作る」というようなものがいいと思います。老後資金にいくら必要かは人によって違いますが、数億円などとあまりに高い目標を立てると、かえって継続できないでしょう。
30年くらいの運用期間を考えるなら、例えば、株式70~80%、債券5~20%、不動産5~10%、金5~10%というポートフォリオが考えられます。
運用期間が10年程度しかないのであれば、リスクの高い株式の比率を減らし、代わりにリスクの低い債券を増やして、株式50~60%、債券20~40%、不動産5~10%、金5~10%というポートフォリオを組むのがいいでしょう。
不動産は、現物よりも流動性が高いREITがお勧めです。
世界中の銘柄に広く分散投資するには、銘柄を一つひとつ買うのは効率が悪いので、投資信託やETF(上場投資信託)を買うことになります。
投資信託やETFを選ぶとき、多くの人は手数料(購入手数料や信託報酬)を重視しますが、その前に確認するべきことがあります。
一つは、市場全体をカバーしているかどうか。米国株の場合、NYダウに連動する投資信託は30社しかカバーしていませんが、S&P500に連動する投資信託なら500社をカバーしています。ただ、S&P500がカバーする500社は大企業ばかりです。
大企業だけでなく中堅企業にも投資したいなら、VTIというETFがあります。これは米国で上場している3,000社以上を含んでおり、米国の株式市場全体に投資するのとほぼ同じ効果が得られます。
その次に確認すべきなのは、安定性です。その目安となるのが、純資産総額、つまり投資信託の大きさです。純資産総額が小さい投資信託は、運用停止になって償還されてしまうリスクがあります。
日本で売られている投資信託の8割は、純資産総額が100億円にも達していません。それでも問題になっていないのは、平均保有期間が2~3年しかないからです。
これらを確認したうえで、最後に見るのが手数料です。ただし、米国の投資信託やETFはすべての手数料をわかりやすく開示しているのですが、日本のものには、小さなフォントで書かれた注意書きを読まないとわからないものがあり、注意が必要です。誠実に開示している良心的な投資信託が敬遠されてしまっている、残念なケースもあります。
次のページ
ステップ4 取引の前に、もう一度リスクを確認する >
更新:11月25日 00:05