2018年08月14日 公開
2023年07月12日 更新
不動産投資といっても様々な手法があるが、「東京23区内の駅近の中古ワンルーム」にこだわり続けているのが日本財託だ。その理由はなぜなのか? 社長の重吉勉氏に聞いた。
年金制度が揺らぎ、多くの人が老後の生活に不安を感じている時代。しかし、資産形成をして老後に備えようにも、低金利で貯金はなかなか増えず、株式投資やFXはリスクが高い……。そんな中、近年注目を集めているのが、家賃収入によって老後資産を形成する不動産投資だ。日本財託社長の重吉勉氏は、こう話す。
「30〜40代のビジネスパーソンにも、銀行からお金を借りて、投資用中古ワンルームマンションを購入する方が増えています。今は銀行がお金を貸したがっていますし、会社員は社会的な信用が高いですから、ローンを組みやすいのです。自己資金を50万〜100万円程度の少額に抑えることも十分に可能です。そして、得られる家賃でローンを返済していき、定年を迎えるまでに完済する。そうすれば、定年後も、家賃が給料に代わる安定した収入になるわけです」
同社では、中古ワンルームマンションの中でも、東京23区内の駅から徒歩10分圏内の物件に絞って、顧客に紹介している。その理由は、不動産投資を成功させるうえでカギとなる「空室リスク」を低減させるためだ。
「日本全体では人口減少社会に突入していますが、東京都に関しては転入超過が続いています。その人数は、2017年のデータで年間7万5000人以上。転入超過数第2位の千葉県は約1万6000人ですから、他県を圧倒しています。その東京都の中でも特に人が集まるのが、23区内で最寄駅から徒歩10分圏内の物件なのです。
東京では、近年、郊外にキャンパスを分散させていた大学が、再び都心にキャンパスを戻す動きが進みました。また、都心ではオフィスビルの再開発が進んでおり、多くの企業が本社機能を都心に集中させるようになっています。こうした大学や企業に通う若者の多くは、当然、交通の便が良いところに住みたいと考えますから、23区内の物件の人気が上昇しているのです」
しかも、現在、23区すべての自治体が、なんらかの形でワンルームマンションの建設を規制する条例を制定している。
「そのため、23区内では、新規のワンルームマンションの着工数が以前に比べて激少しています。住みたい人は増えているのに、それに見合った供給がないわけですから、物件の希少性が高まっています。そのため、23区内のワンルームマンションなら、空室リスクはほぼ0と言っていいでしょう。事実、当社が管理している物件の年間平均入居率は99%に達しています」
ワンルームマンションには、中古ではなく、新築の物件もある。しかし重吉氏は、投資するなら中古のほうが断然お勧めだと言う。
「理由は、販売価格がまったく違うからです。2017年1〜7月のデータを見ると、23区内の新築のワンルームマンションの平均販売価格は約3200万円です。一方、同期間に当社が取り扱った築10年以内の中古ワンルームマンションの平均販売価格は約2000万円。1000万円以上の開きがあります。
家賃は、新築も中古も、さほど変わりません。ということは、中古のほうが少ない資金で購入でき、しかも利回りが高くなるということです。今、23区内の築10年以内の中古ワンルームマンションの実質利回りは、4%くらい。購入する際には、多くの人がローンを組むことになりますが、超低金利が続いていて、今なら1.6〜2%前後の金利で借入れができますから、利回りとの差が2%以上もあります。これだけの差があれば、ローンを組んでも、家賃だけで、金利の返済はもちろんのこと、元本まで返していけます」
そして、家賃に加えて、ボーナスなどもローンの返済に充てることで、繰上げ返済をすることも大事だ。
「毎年、少しでも繰上げ返済を続ければ、例えば30年の長期で借りたローンを半分の期間で返すことも可能です。ローンのないマンションを早期に獲得することが、どんなに素晴らしいことか。何しろ家賃から諸経費を引いた額のお金が、すべて自分の収入になるのですから」
重吉氏が推奨する不動産投資の方法は、これだけにとどまらない。
「ローンのないワンルームマンションを1戸手に入れたら、2戸目の購入にチャレンジしてください。2戸目については、1戸目と2戸目の両方の家賃を返済に充てることができますから、1戸目よりも早くローンを全額返済することができます。
そして、2戸目の返済を終えたら、次は3戸目にチャレンジします。こうして定年までにローンの残っていないワンルームマンションを複数持っておけば、老後の経済的な不安はまったくと言っていいほどなくなります」
23区内であれば、複数のワンルームマンションを持っていても、今だけでなく、今後も長期にわたって、空室が発生するリスクは非常に低い。
「実は23区も、2025年までは人口が増え続けますが、その後は減少に転じるという予測が出されています。ただし、減少するといっても、2045年に現在の人口と同程度に戻るだけです。ですから、不動産投資で長期安定収入を得たいなら、やはり23区内の駅から徒歩10分圏内の物件が確実なのです。
もちろん、23区内にあっても、ゴミ置き場が雑然としているなど、管理が行き届いていないマンションは入居率が下がります。また、修繕計画に基づいて、修繕積立金がきちんと積み立てられているかどうかのチェックも大事です。こうした点を慎重に見定めたうえで、投資すべき物件を選んでください」
(取材・構成:長谷川敦、写真:長谷川博一)
更新:11月21日 00:05