2018年10月05日 公開
2023年03月14日 更新
このようにお話しすると、「売れるほどの何かが自分にあるとは思えない」と言う方がいらっしゃいますが、そんなことはありません。自分では当たり前と思っていることも、その職種や業種のことを知らない人にとっては未知の世界。ビジネスパーソンとして長年経験を積んできた中には、必ず何かしら専門的な「売れる」スキルが蓄積されているものです。
特に『THE21』読者世代は中堅~ベテランビジネスパーソンですから、「教える」、いわば「自分のスキルを売る」という副業は十分にできると思います。
まずは自分の何が売れるのか、自分のキャリアやスキルの棚卸しをしてみましょう。これはマーケティングであると同時に、究極の自己研鑽にもなると思います。改めて自分の「強み」を振り返ることになるからです。
そのうえで、たとえばセミナーを開くなら、企画、広報・宣伝、営業、会計・経理、顧客サポートなど、自分で行動し、初めて体験する業務もあるはずです。本業ではジョブローテーションがなければ得られないような、あらゆる部署の仕事を副業で体験することになるのです。また、本業とは違った人脈を作ることも可能です。
副業から始めて、軌道に乗ったら独立する道を考える人もいます。そうした人にとっては、副業としてビジネスを行なうのは、助走期間のようなもの。本業の収入があるので、いきなり独立開業するのとは違って、もし失敗しても簡単に方向転換したり、撤退したりできます。
個人事業主として副業を行なう場合、日本政策金融公庫などから小口の融資を受けることも可能です。事業計画書などが必要になりますが、そうして事業のためにお金を借りることもまた、独立したときのための勉強になるでしょう。
副業を始めるにあたり、注意すべきこともいくつかあります。まず、本業と競合する事業、本業の情報を利用しての事業はNGです。
二つ目に、情報の取捨選択をすること。成功者の話を参考にするのは良いのですが、その情報は玉石混交です。たとえば、転売系の副業のマニュアルで、「クレジットの限度額をすべて使って仕入れる」などと書かれているのを見たことがありますが、冷静にリスクを考えると到底良い方法とは思えません。
ネットでは何万円もする情報商材が売られていたり、高額なセミナーの情報なども出てきます。情報商材やセミナー自体が主催者の収入源となっている可能性もあります。中には本当に役立つ情報もあり、それを得るにはある程度の出費も必要だとは思います。しかし、その人がそのやり方で成功したとしても、同じ方法があなたに合うとは限りません。
三つ目に、年間の利益200万円以上が出たら、確定申告を忘れずに。いざ独立開業する段階になって融資を受けようとしたとき、今までの副業での業績・利益について必ず問われます。そのときに確定申告をしていないと問題になります。
最後に、副業が推奨されるかどうかは会社の風土によって異なります。必要なら、人事部や上司に副業することをあらかじめ伝えておきましょう。
<『THE21』2018年9月号より>
更新:12月10日 00:05