2017年08月10日 公開
2017年08月10日 更新
吉祥寺にオフィスを構え、西東京、神奈川を中心とする「土地値物件」を扱うハウスリンクマネジメント。築古収益物件の販売を手掛けるとともに、その後の賃貸管理も行なっている会社である。「首都圏近郊・郊外での一棟買い」と言うと一見ハードルが高そうに聞こえるが、同社はこの方法で高利回りを実現。最近は新築案件も供給を開始したとのことで、同社のビジネスモデルについて詳しくうかがった。
不動産業界ではひと頃よりも価格が高騰している中、高利回り物件を供給し続けるハウスリンクマネジメント。同社は何らかの理由で市場に流通していない「不良物件」を高収益物件に再生するノウハウを持っている。
「不動産投資は入口となる物件選定と融資を間違えず、運用と出口のポイントを押さえれば、長期的には確実な収益を生んでくれる最良の投資です。しかし、物件の供給過剰が起こる中で、確実に入居付けをするには、料設定に妥当性があり、物件価格に妥当性があると思える物件を購入することが重要です」
物件選定のカギは土地の資産価値と比較し、物件価格が安く、家賃が下がりにくい物件。菅谷氏はそれが「土地値物件」だと言う。
「通常、物件の売買価格は土地の価格と建物の価格の合計になりますが、築年数が経過するにつれ、ほぼ土地値だけになる物件が出てくることがあります。そうした眠れる物件を見つけ出し、リフォームで資産性のあるものに仕立て、高利回りで運用する。これが当社がお勧めする『土地値物件』への投資です。『土地値物件』は建物の価値がないぶん、内外装の修繕にコストをかけられるので、古くても住みたいと思われるような物件に再生することが可能です。売買価格がほぼ土地値だけということは、売却時も土地値ベースでは売れることが想定でき、リスクの少ない投資と言えます」
魅力的な投資法に思えるが、土地値程度で買える物件は本当に見つかるものなのだろうか。
「数は少ないですが、西東京・神奈川では23区内ほど利回りが低くなく、土地の資産価値が高い物件が存在します。このような物件が出る理由は、一つには相続税対策で失敗した地主の存在があります。
相続税対策という名の元にハウスメーカーが新築アパートを建てさせています。ハウスメーカーのアパートは利回りが低く運用益が出ません。運用益が出ないアパート経営は保有中のキャッシュフローが出ませんので、資産拡大ができません。ところが一方で、修繕費などのコストがかかり、手持ち資金が枯渇していきます。高齢になっていく地主は土地の資産価値が高いからこそ、相続額を心配し始めます。子供や孫にも少し資産を残したいと考えるのが親心です。
相続税対策には納税資金が欠かせませんが、ハウスメーカーによるアパートを保有している地主はそのような資金がないため、本当の意味での相続税納税対策ができていません。結果、後世に負の遺産を残さないよう売却するケースが多く、土地値物件の要因になっています。
不動産投資をするなら都心・駅近が良いと思う方は多いでしょう。しかし、都心は地価も物件価格もバブル化していて、売却を見据えた際に、これ以上の値上がりを見込むのは厳しいです。その点、西東京や神奈川などは坪単価がもともと安いため、大きく上がることも下がることも少ないというメリットがあります」
そうした物件に確実に入居者を確保する秘訣は、徹底したリーシング(入居付け)マネジメントにある。
「専任のリーシング担当が直接、近隣の賃貸仲介会社に営業を行ない、最近の成約事例をリサーチします。そこから成約しやすい家賃や賃貸募集の方法を徹底的に追求するのです。こうして専任担当者が足で稼いだ情報と人脈により、エリアの入居付けが強い賃貸仲介会社に空室情報が行き渡ることで常に高い入居率を維持しています。
大事なのは、どんな場所でも入居付けできる水準を見極めること。決して郊外だから決まらないわけではないのです。ただし、小田急線であればここまで、中央線ならここまでという線引きをしています。地元に強い仲介会社が『客付けが難しい』と言うエリアには手を出しません。物件の供給数と人口と賃貸需要は密接に繋がっています。
そして、これなら成功するという利回りと物件の仕入れ金額を逆算し、目標に見合ったものを仕入れ販売する。これが当社のお客様に成功していただくセオリーとなっています」
低金利の今、ローンを組むチャンスでもある。菅谷氏は「物件選定と同じくらい重要なのが銀行選定だ」と指摘する。
「保有中はキャッシュフローを最大化させ、着実にローンを返済していく。これが不動産投資の鉄則です。そのためには、なるべく自己資本を使わず、それでいて毎月安定的にお金が入り、かつ元本の返済が進むような融資を受ける必要があり、銀行選定が不動産投資の成功を大きく左右します。
審査では、年収や勤務先、保有資産といった属性に加え、融資対象となる物件の収益性など、さまざまな条件が担保として評価されます。保有資産が多い方は、新築のような資産性が低くても収益性が高い物件を持ち続ける方法でも、うまくいくでしょう。
しかし、一介のサラリーマンであれば、物件の収益性も重要ですが、それ以上に土地の資産性が高い(積算価格の高い)中古物件を選んだほうが多くの融資を受けられます。
そうしたお客様一人ひとりに合わせた物件選びやファイナンスのアレンジに始まり、保有中は入居付けから賃貸管理、タックスマネジメント、修繕計画など、不動産の収益最大化に向けて総合的なコンサルティングを行なっています。
不動産投資は売却によって最終的な利益が確定します。したがって、『いつ、どのように売れば、どのような結果が出るか』を予測する逆算思考を持つことが重要です。将来の話である以上、不確定要素は多いのですが、それでもローンの残債や地価の予測など、データから見えてくることはたくさんあります。出口戦略は購入前に考えておく必要があり、最後の売却までをワンストップでお手伝いできることも当社の強みだと思います」
不動産会社は都心にオフィスを置くイメージだが、同社の所在地は吉祥寺。その立地には「プロの不動産投資会社」を目指す菅谷氏の思いが表われている。
「まずは賃貸管理業務を円滑に行なえるよう、物件に一時間程度で到着できる場所というのが第一条件でした。
もう一つはお客様のアクセスを考えてのことです。お客様には都心にお住まいの方が多く、都心ヘのアクセスが良い場所であることも重要でした。当社は賃貸管理もセットで収益不動産を販売しているので、売って終わりではありません。むしろ『売ってから始まり』ですから、吉祥寺が今のところ便利なのです。
不動産投資は早く始めればそのぶん多く賃料収入を得ることができますが、40代のスタートは決して遅くはありません。
金利、入居率などの条件によって異なりますが、利回り10%の物件なら、投資資金は約15年で回収できます。つまり、現役の間に賃料収入や本業の収入で返済が終わり、55歳以降は賃料収入をまるごと手にできるのです。
私自身、サラリーマン大家として数々の経験を積んできました。その経験も踏まえながら、定年後の生活を支える柱として、不動産投資を精一杯サポートさせていただきます」
菅谷氏の著書が発売中!
『不動産投資は「土地値物件」ではじめなさい』
菅谷太一著
幻冬舎
1,512円(税込み)
「土地値物件」の魅力とともに、具体的な投資戦略、出口まで見据えた、長期的視点からの本当に役立つ知識が満載。不動産投資の入門書に最適の1冊。
更新:11月21日 00:05