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「営業で一番大切なこと」はモロッコ人に教わった(モロッコ)

2017年01月07日 公開
2017年08月10日 更新

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(17)石澤義裕(デザイナー)

日本人も真似したい「怒涛のクロージング」


モロッコの昼飯。肉屋で肉を買い、直営の焼き場で焼いてもらいます。素材の旨みだけで勝負した焼肉。癖になる味です。

ホモ属の地球拡散を逆行する旅、軽自動車ヨーロッパ大陸横断。
彼らが2万5千年かけた道のりを15カ月に短縮し、無事に人類の故郷アフリカ大陸に上陸しました。

苦節5万km、パンク2回。
想定外に寒いモロッコで、羽を休めています。

 

モロッコ国王は国民のアイドル!?

FacebookやTwitterが政権を倒したSNS革命、「アラブの春」。
チュニジア、アルジェリア、エジプト、リビアと次々と隣国が春前線に巻き込まれるなか、花を咲かせることなく王国を守り抜いたモロッコ。

素早い憲法改正と政権交代で国民を掌握したのは、我が家の老妻よりひとつだけ歳上のうら若き王様、モハメッド6世。
王様は一般人を妻に娶り、自らハンドルを握り、国内各地をお忍びドライブする庶民派です。

道中、泥だらけの悪路があればこれを舗装し、水不足に悩む村があれば水道をひく、世直し政治が大好評。その「すぐやる課」的行動力で、水戸黄門さながらの人気を博します。

商店や一般家庭に祀られた王様の御本尊は、どこぞの独裁者や毛沢東とは違い、ポーズや背景のバリエーションが豊富です。アイドルスターのブロマイドのように、愛されて貼られているのです。

 

「何でもいいからモノを売れ!」たくましき商魂

下々に優しい王様ですが、一方国民であるモロッコ人といえば、インドとエジプトに肩を並べる「世界三大ウザい民族」。
彼らのプリミティブな商魂が、日本人が忘れてしまった「営業マンに一番大切なこと」を教えてくれます。

宿街に近づけば、すーっと間合いに入ってくる絶妙な商機。
「どこに泊まっていますか~? どこですか~、どこどこ~。どこ~。わたしホテル安い~」
考える暇を与えない間断ない質問ぜめで、ホテルを売込みます。

ホテルを断っても、いつのまにか駐車場の警備員に早変わり。路駐の見張り人として、小銭を請求してきます。
駐車場がダメならレストランを案内したり、それでも金にならなければ土産物を売り込んだり。追い払っても追い払ってもまとわりつくこと、蝿のごとし。

そして最後に、ハッパ売り。
「気持ち、いいでっせ~」

日本では「商品を売り込まず、自分を売れ」などと禅問答みたいなビジネス書があふれていますが、モロッコでは何を売るかは二の次で、どれだけ財布を開かすかに的を絞った営業。

金さえ拝めるならば、知らない物さえ売る気概と迫力があります。

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著者紹介

石澤義裕(いしざわ・よしひろ)

デザイナー

1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。新宿にてデザイナーとして活動後、2005年4月より夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。

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価格(税込):780円

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