THE21 » キャリア » スキマ時間での「ノートの上書き」が最高のアウトプットを生み出す

スキマ時間での「ノートの上書き」が最高のアウトプットを生み出す

2016年12月09日 公開
2022年11月09日 更新

遠藤功(ローランド・ベルガー日本法人会長)

何度も読み返して思考を上書きする

ただし、インプットが直接アウトプットにつながるわけではない。その間に「考える」というプロセスが必要となる。

「そのために私はノートを常に持ち歩き、移動時間やスキマ時間があれば、すぐノートを開いて読み返します。この時、前述したように、重要な部分や新たな気づきをマーカーで書き入れ、『思考の上書き』をします。
これにより、思いつくまま書き殴った生の一次情報が編集され、自分にとって本当に必要な情報を見極めることができます。また、ノートをじっくり見返すことで、『あのとき、お客様が言ったことは何を意味するのか』といった本質の部分まで深く掘り下げられるようになります」

 

「目的」を意識してこそノートを有効活用できる

そもそも仕事には「目的」があるはず。それを意識しないと、せっかくのノートも無駄になる。

「『3カ月後までに、A社を新規開拓する』といった目的があるから、そこから逆算して必要な情報をインプットし、考えを整理して、アウトプットを出せる。その道具としてノートを使うのであって、ノートを書くことそのものが目的化しては意味がありません。いくら詳細にお客様との会話をメモしても、『これを新規開拓にどうつなげるか』を考える時間を作らなくては、仕事で成果は出せないのです。
 その意味でも、わずか十分でも時間があれば、パッと開いて思考に集中できるノートは、忙しいビジネスパーソンにとって最強のツール。有効活用すれば、限られた時間内で最大のアウトプットを出せるはずです」

 

遠藤氏愛用のノート

著書『五能線物語』(PHP研究所刊)の取材や構想、原稿執筆のために使っていたノート。
色は多く使いすぎず、3色程度にとどめる。基本は黒で、重要なところに色ペンでアンダーラインをつける程度。このページは重要なキーワードがたくさんあった。

 


遠藤氏がこれまでに使ってきたノート。すべて保存してあるという。背表紙を留めているのは、コンサルタント業で1年間に使った分をまとめたもの。

 

《『THE21』2017年1月号より》

著者紹介

遠藤 功(えんどう・いさお)

遠藤功(ローランド・ベルガー日本法人会長)

ローランド・ベルガー日本法人会長。早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機株式会社、米系戦略コンサルティング会社を経て、現職。経営コンサルタントとして、戦略策定のみならず実行支援を伴った「結果の出る」コンサルティングとして高い評価を得ている。ローランド・ベルガーワールドワイドのスーパーバイザリーボード(経営監査委員会)アジア初のメンバーに選出された。株式会社良品計画 社外取締役。ヤマハ発動機株式会社 社外監査役。損保ジャパン日本興亜ホールディングス株式会社 社外取締役。日新製鋼株式会社 社外取締役。コープさっぽろ有識者理事。『現場力を鍛える』『見える化』(以上、東洋経済新報社)、『新幹線お掃除の天使たち』(あさ出版)など、ベストセラー著書多数。

THE21 購入

2024年12月

THE21 2024年12月

発売日:2024年11月06日
価格(税込):780円

関連記事

編集部のおすすめ

自分としっかり向き合うために。女子大生社長の「びっしり」ノート

椎木里佳(AMF代表)

できる人が「方眼ノート」を使う理由

高橋政史(クリエイティブマネジメント代表取締役)

ズボラでも続く! 「ふせんノート」で考える技術

坂下 仁(ビジネス書作家)