旭川空港
さらに、その視点をグローバルにまで広げたとき、見える世界は大きく変わってくる。
「旭川の緯度はカナダのトロント、イタリアのミラノとほぼ同じ。ロンドンやパリといった大都市はさらに北。北のはずれにあるというのはあくまで、東京から見た視点にすぎません。
実は旭川市には複数のタイヤメーカーやブレーキメーカーがテストコースを設けています。
広い土地が確保できるということもあるのですが、ヨーロッパ基準にも対応できる気候でテストすることに意味を見出していただいているからです。大手空調メーカーのラボもあり、寒冷地であることがむしろメリットとして生きるのです」
旭川市の魅力を伝えるため、市長自らがトップセールスで飛び回る毎日だという。
「近年では、台湾、香港、タイ、ロシアへ行きましたが、どこへ行っても北海道のブランド力、とくに農作物への高い評価を感じました。観光面では、とくに台湾から『雪を見たい』という多くの観光客が訪れます。昨年の国際線利用者数は20万人に迫る勢いです。宿泊施設が不足し、ホテルが相次いで3棟もオープンしたほどです。
国内も同様です。トップセールスで企業に出向いたり、各地で企業誘致のセミナーを行なったりしています。この11月には名古屋でセミナーを開く予定です」
一見、不利に見える立地を発想の転換で強みに変え、地道な努力で広げていく。その姿勢からは企業誘致だけでなく、あらゆるビジネスに通じるヒントが隠されているようだ。
2013年3月にコールセンターを立ち上げました。旭川を選んだ理由の一つはBCP(事業継続計画)。他に福井と高知にコールセンターがあるので、そこから離れた場所で、かつ地震など災害のリスクの少ない場所を選んだのです。ただ、より重要なのは採用です。人口や有効求人倍率はもちろん、競合のコールセンターの数など総合的に判断した結果、旭川市が最適となったのです。
採用に関しては、行政のサービスも大きかったです。新しい土地では採用に苦労するものですが、市の職員の方が一緒に学校を回りPRをしてくれたりと、全面的に支援をしてくれました。結果、採用は非常にスムーズに進みました。
仕事を始めてつくづく感じたのは、旭川の人のまじめさ。研修もみな、とても真剣に受けてくれましたし、その真摯な姿勢からお客様の評価もとても高いです。
確かに冬は寒いですが、除雪も万全で、むしろ首都圏より交通がマヒするようなことが少ないかもしれません。今年8月に東京に戻りましたが、景色の美しさや食事のおいしさなどは今でも忘れられませんね。
更新:11月23日 00:05