2016年10月05日 公開
2023年05月16日 更新
学生時代の英語教育の影響もあってか、英語を話したい人の多くは「弱みを克服」するために学習を始める人が多い。しかし辛いことを続けるのは難しい。いつまでたっても「伸びない自分」に嫌気がさして、忙しさを理由に断念してしまった経験がある人も多いだろう。
筆者のレッスンを受けに来るビジネスパーソンの3人に1人くらいが「単語は覚えたほうがいいですか?」と質問してくる。単語を覚えるのが好きな人であれば、そもそもそんな質問をしてくることはないわけで、こう尋ねる人のほとんどが「単語を覚えるのは学生時代から好きじゃなくて……」と口を揃える。だったら、やらないほうがいい。苦手なことをガマンして続けるのは、英語トラウマの上塗りをしているに過ぎないからだ。
部下や後輩は「褒めて育てよ」とよく言われる。英語も同じで、「できること」に注目し、「強みを伸ばす」ことで、誰でも驚くほど上達するのだ。
筆者は学生時代、毎月のようにTOEFLテスト(アメリカなどの大学に留学する際必要となる英語能力試験。677点が満点とされる)を受験していたが、苦手分野の文法や長文読解の点数はどんなに勉強しても伸びなかった。
ある時対策本を使うのをやめ、好きな音声教材をテスト前の1週間に毎日1〜2時間聞くようにしたところ、リスニングの点数だけ満点になった。点数が伸びると嬉しいし、自信がつく。翌月以降は音声教材を聞く時間を増やしたところ、合計の学習時間が増えたこともあり、苦手な文法や長文読解の点数も徐々に伸び、4月には297点だった合計点が9月には600点を超えたのである。
英語習得のためには、総合的なスキルが必要である。「単語」「文法」「長文」だけでなく「伝える力」から「身振り」まで、多くのことを習得しレベルアップしなければならない。しかし「弱点」ばかりに気を取られて、やる気を削いでしまっては本末転倒である。英語も仕事と同様、強みを認識し活かすと「話せる力」は必ず伸びる。
仕事のスキルと英語に共通している不安要素の一つに「伸びがわかりにくい」ことがある。ただ、仕事については先輩や上司から「キミ、仕事できるようになったね」などとフィードバックをもらえる。しかし、英語を独学で習得しようとした場合、客観的な視点が得られにくいのである。
この不安は「数値化」することで払拭できる。英語のワークに取り組むとき、同じ時間内でどのくらいアウトプットできたかを計るのである。
文書の作成やシャドーイングは数値化しやすい。たとえば、辞書を使わず、中学レベルの英語を駆使して15分間、文書を作成してみる。15分間手を止めずに書ける単語数は100〜150単語という人が多い。とてもシンプルだが、このワークを週1〜2回継続すると、3週間後には200〜350単語書けるようになる。
新入社員の頃、先輩に頼まれた資料を作成するのに、始めは3日も4日もかかっていたのが、数カ月経つ頃には半日で作成できるようになった。そんな経験をした人もいるのではないだろうか。英語も仕事のスキルと同様、数値化して実力を定期的に計ることで「話せる力」は必ず伸びる。
第2回目は3つのコツを抑えることで「話す英語力」を伸ばす方法を紹介した。次回はビジネスの場面で使いたい「洗練された英語」の習得方法について紹介する。
(第3回は近日中に公開)
更新:11月23日 00:05