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「男の身だしなみ」入門 第 5回 ネクタイ編

2016年01月05日 公開
2023年02月02日 更新

日野江都子(国際イメージコンサルタント)

ネクタイは相手への礼儀を表わす!

 

 ビジネスの評価を高める装い方を学ぶ、本連載。第5弾はネクタイ。身近なアイテムだが、何のために着けるのだろうか。今回は基礎知識と共に、ネクタイの意義について学んでいく。

 

ネクタイは仕事モードに切り替えるスイッチ!

 ビジネスパーソンの装いに彩りと個性を感じさせるアイテム、それがネクタイ。きゅっと締め上げた瞬間に、表情がさっと引き締まる。普段からネクタイをしている人も、そうでない人も同じようにそうさせる、その人の中のオフィシャルなモードをオンにするスイッチとなる面白いパーツとも言えます。またその選び方、扱い方に、価値観やメンタリティ、仕事との向き合い方などがはっきりと表われる部分でもあるのです。
 
 年の半分がクールビズ期間となっている昨今の日本。ネクタイなしの姿で仕事をする時期が年の半分もあるということになります。酷暑とまで言われる日本の夏に、ネクタイ着用で仕事をするのは大変でしょう。
 
 しかし、大事なクライアントとのアポイントがあれば、クールビズ期間であろうがネクタイをして向かうのがビジネスパーソン。やはり皆さんネクタイを締めているほうがきちんとした印象を与え、仕事人として信頼感を抱いてもらえるということを感じてはいますよね。
 
 そんなネクタイ着用の効用を改めて実感したのは数カ月前のこと。出張のために空港に向かう車を呼んだときです。一般的にカジュアルな格好の多い、NYのカーサービスの運転手さんたちですが、その日、私を迎えにきた人はちょっとだけ違いました。
 
 ジャケットは着用していないまでも、プレスの効いたシャツを着て、ネクタイをキリリと締めていたのです。その姿を見たときに、私は自分の本業を通した目線ではなく一人の客として、単純に「これは嬉しい」と思いました。そこには、その人の、お客さんを丁重に扱い、安全な運転をしますという仕事への姿勢と意志がはっきり見て取れたから。
 
 その第一印象は違うことなく、道中の運転はもちろんのこと、トランクから重たいスーツケースを出し、私を送り出してくれる最後まで、彼のサービスは本当に気持ち良く完璧で、鮮明に記憶に残っています。
 
 彼がネクタイをしていたから私が良い印象を持ったと思われますか? 確かにそれもあるでしょう。でも、それだけではありません。しなくても良いネクタイをわざわざするという選択から、彼の仕事への真剣度と自信を実感したからだったと確信しています。
 
 ネクタイは仕事のオンオフを切り替えるスイッチ。そしてその身につけ方に、その人の仕事への真剣度や相手への敬意が宿ります。秋になり日本でもネクタイを着用する機会も増えますね。皆さんのネクタイ、仕事スイッチはオンになりますか?
 
 

ネクタイの適切な〝長さ”

 
 ネクタイを結んだ際の正しい長さは、大剣の先がベルトのバックル中央にあたるくらい。また、シャツの襟元までしっかり締め上げます。襟元とノットの間に隙間が見えたり、結び方が緩くノットが曲がっていたり、ネクタイ自体が身体の中央に真っすぐ位置していないと、だらしなさが漂います。注意しましょう。
 

NG例

 ネクタイ自体が長いインポート物は、大剣がバックルよりも下にきてしまうケースを目にしますが、NG。また、ノットを大きくする結び方で、大剣がベルトよりも上になっているのもNG。ネクタイの長さ、生地の厚みなどにより、プレーンノット、ウィンザーなど結び方を変え、長さとノットのバランスを取るのがスマートです。
 また、ネクタイは消耗品。高額であったり気に入っているものでも、よれたりシミがついたり、剣先から糸が出始めたら現役引退。また水玉など、白い部分のあるネクタイは、白い部分が黄ばんだら、使用中止です。
 

ネクタイの色やガラの種類

 
 ビジネスシーンで必携の色は、「信頼感と清潔感」の紺(青系を含む)と「勝負」の赤。柄は、遠目に無地の織柄や、ストライプ、ドット、小紋柄です。文化的背景による柄の意味はありますが、視覚的には、しっかりしたストライプが、最もシャープ感がありインパクト大。

 

松屋銀座スタッフの〝買い方″ワンポイントアドバイス
 
 ネクタイを買いに行く際は、ぜひスーツを着ていらしてください。仕事帰りにお立ち寄りいただくのがベストです。職業によりドレスコードも違うので、普段どのようなスーツやネクタイを着用されているかを拝見できると、間違いのないものをお勧めすることができます。
 
● ネクタイ選びで迷っているお客様には、紺色ベースのものをお勧めしています。紺色のネクタイは派手にはならず、かといって地味すぎもせず、とても便利だからです。
 
● 初めてネクタイを買われる方には、ドット柄、小紋柄、レジメンタルの3種類から始めるのをお勧めしています。とくに、ドット柄のネクタイは、ストライプのシャツにもチェックのシャツにも合わせやすいので、1本あるとたいへん重宝します。
 
(『THE21』10月号より)
 
写真撮影:まるやゆういち

著者紹介

日野江都子(ひの・えつこ)

国際イメージコンサルタント

米国ニューヨーク在住。1994年より日米にて活躍、国際的イメージコンサルタントの第一人者として20余年のキャリアを持つ。2004年、Real Cosmopolitan Inc.(株式会社リアル コスモポリタン)設立。NY・東京の二大拠点を持ち、企業・人・ブランドの価値を高める、国際基準の戦略的イメージブランディングとマネジメント、企業トップエグゼクティブや政治家のメディア対応イメージ・コンサルティングで高い評価を得ている。
AICI(国際イメージコンサルタント協会)ニューヨーク支部ボードメンバー。
著書に『NY流 魅せる外見のルール』(秀和システム)、『仕事力をアップする身だしなみ 40のルール』(日本経済新聞出版社)他、執筆多数。
www.thelookbest.com

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