2015年06月24日 公開
2023年01月12日 更新
「無印良品」を展開する〔株〕良品計画の松井忠三会長と、160センチに満たない身長にもかかわらず、バレーボール女子日本代表キャプテンとして活躍した竹下佳江氏。実は松井氏が大学時代までバレーボールをしていたこともあり実現したこの「異色対談」だが、「リーダーに必要なものは何か?」の示唆に富んだものとなった。
――松井会長は中学時代からずっとバレーボールをしていたとか。
松井 ええ、ずっとバレーに熱中していまして、大学卒業後も体育教師になって続けたいと思い、東京教育大学(現・筑波大学)に入学したほどです。ただ、学生運動に参加したことで教師への道が閉ざされてしまい、結局、企業に就職したのです。それだけに、日本代表のセッターとして活躍された竹下さんとの対談は非常に楽しみにしていました。
竹下 私もです。松井さんのご著書を読んでいると、私のやってきた「セッター」(トスを上げる役割を持つ選手)の考え方と通じるものがあり、ぜひお話をうかがいたいと思っていました。ただ、松井さんはセッターではなく、スパイクを打つ「アタッカー」として活躍されていたのですよね。
松井 身長は177㎝なので、アタッカーとしてはそれほど大きくはなかったのですが、ジャンプ力だけはあったのです。
私が「セッター」の重要性に気づいたのは、大学に入り、東レや富士フイルムなどの実業団チームと試合をするようになってからです。どのチームもセッターはチームの「要」として機能している。そして、彼らはいろいろなことを考えていた。「そうか。スポーツでもここまで真剣に考える人がいるのか」ということを初めて知りました。
竹下 松井さんにとって、どんなセッターのトスが打ちやすかったですか?
松井 穏やかに弧を描く「ボールが死んでいる」トスは打ちやすかったです。逆に勢いよく飛んでくる「生きている」トスは合わせるのに必死で、考える余裕がありませんでした。
竹下 私もまさにそんな「死んだトス」を突き詰めようとしてきました。いわば、アタックを打つ点がいくつも見えるようなトス。それなら、どこにどう打つかをアタッカーが自分で考えることができるからです。
松井 そんなトスを打つと、打ってから身体が上がっていく感じすらありましたね。
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更新:11月25日 00:05