2015年04月17日 公開
2023年01月30日 更新
この2つの力は、経験で身につけられるものだと柴田氏は言う。具体的には、短期間で複数の部署を経験することが、これらを高めるために有効だ。
「ベンチャー企業なら、人手が足りませんから、仕事を選んでいられない。どんな業務にも携わらざるを得ないでしょう。
しかし、大企業は部署ごとに分業化が進んでいますから、さまざまな業務を短期間で体験することが難しい。ややもすると『人に使われる』側のエキスパートになってしまう。全員が『人を使う』側になる必要はないので、それはそれでいいのですが、経営幹部にまで出世したいのなら、自ら手を挙げて、さまざまな部署を経験したいとアピールすべきでしょう」
近年では、20代から幹部候補を選抜し、さまざまな部署を経験させて育成する流れも出てきている。これはグローバル化の影響によるものだ。日本企業のトップは、55〜65歳が中心。対して、海外の多国籍企業では45〜54歳が多くを占めている。
「トップの平均年齢に10歳も開きがあることは国際競争力に影響します。若ければ、万が一失敗しても挽回する機会がありますから、チャレンジングな判断ができる。けれども、歳を取っていると、失敗を恐れて決断が鈍くなってしまうからです。
日本企業も、グローバルで戦うために、若い人材を経営層に登用する傾向にあります。そのためには、幹部候補の選抜をかなり早い段階からしなければならない。『人を使う』側へ回りたいなら、早く行動すべきです。
出世したいと思っていても行動に移せない人は、『自発する力』が弱いと自覚しましょう。そういう人は、背中を押してくれるメンターを見つけること。メンターが身近にいなければ、自分から会いに行く。『こんな人になりたい』と強烈に思う人に会ってみてはどうでしょうか」
ただし、さまざまな部署を経験しても、どこでも中途半端に終わっては意味がない。まずは「ホーム」となる専門領域を作ることが必要だ。専門性がなければ、ただ業務をさばくだけの人になってしまう。
「ある仕事をホームにするためには、最初から最後まで、業務全体を体験することです。
業務全体を体験すれば、その仕事を抽象化することもでき、他の業務にも経験を活かせるようになります。先ほどお話しした、自分の型ができてくるわけです」
今は全員が管理職になれる時代ではなくなった。「人を使う」側になるためだけではなく、「人に使われる」側として幸せなキャリアを築いていくためにも、専門領域を作ることは重要となる。
「プロフェッショナルになれば、他の会社に移ることもできます。最近では、総合職と専門職とを分けて、専門職としてのキャリアを制度化している企業も増えてきています。
専門性を高めるためにも、やはり常に感度を高めておかなければなりません。法務であっても、財務であっても、情報は常にアップデートされていますから」
(『THE21』2015年4月号より)
<掲載誌紹介>
2015年4月号(いつも評価が高い人VS.なぜか評価が低い人)
<読みどころ>
組織に属する以上、誰もが気になるのが「評価」。
人間が人間を評価する以上、そこには必ず「歪み」が生まれます。
ただ、それを放置することで、社員がモチベーションを下げてしまったり、間違った努力を繰り返してしまっては、会社・社員ともに不幸になります。
そこで今回、多くの識者への取材を通じ、「会社が評価する人」の条件を探り出してみました。
評価する側200人、評価される側200人への緊急アンケートを始め、一部上場著名企業から現役人事マン、コンサルタントなど様々な方から「今、評価される人材の条件」を徹底的に聞き出しています。
皆さんの「正しい努力」につながれば幸いです。
更新:12月02日 00:05