2013年10月24日 公開
2023年05月16日 更新
《『THE21』2013年11月号「認められる人」の話し方のコツ より》
まだ実績や経験が浅い人や若くして出世した人は、どうしても「自分は軽く見られているのではないか」と思いがち。もちろん、気のせいだということもあるだろう。だが、実際にはささいなことで「軽く見られてしまう」可能性があるのも事実。そこで、5人の達人の方々から、「軽く見られない」ための話し方、あるいは外見の整え方についてうかがった。
<取材した達人とテーマ>
[言葉づかい]意識的に敬語を使う/梶原しげる(フリーアナウンサー)
[話し方]簡単明瞭に話す/美月あきこ(CA-STYLE主宰、元国際線キャビンアテンダント)
[話の組み立て]論理的に話す/出口汪(作家)
[外見]「見た目」を意識する/竹内一郎(宝塚大学教授、『人は見た目が9割』著者)
[服装]大人の服装を心がける/三好凛佳(国際イメージコンサルタント)
ここでは、どの方もその重要性を強調されたポイントを中心に紹介しよう。
テレビや講演会で話をしている経営者や著名人は、堂々として、いつも自信に満ちているように見えるもの。
それに比べて自分の話し方はどうだろう。なんとなく「軽く見られているのではないか」--そう考えるビジネスパーソンも多いはず。
もちろん、貫禄というものは長年の経験を経て蓄積されていくものなので、年配の経営者と自分を比べてあせっても意味はないし、「軽く見られている」ということ自体、思い込みだということもある。
ただ、それでもやはり「自分は軽んじられているかもしれない」と思うのだったら、やはりどこかに原因があるのかもしれない。
実際、自分では気づかないちょっとしたクセや態度で、「この人は大人のビジネスパーソンではないな」と判断されてしまう恐れがあるからだ。
そこでまず、あなたの「自覚している問題別」に、軽く見られないための傾向と対策を考えていくことにしよう。
人前に出るとあがってしまう、という人は、まずは経験を積むのが第一。場数を踏むことで、話し方は自然と上達するものだ。
だが、ある程度の経験もあるのに自信が持てないとしたら、やはりどこかに原因があるかもしれない。たとえば、以下のような点だ。
◇自分ではうまく話しているつもりでも、相手に伝わっていないように感じる
それは、自分自身が話すことに精一杯になってしまって、周りが見えていないからかもしれない。
一流と呼ばれる人は皆、むしろ相手への気遣いを優先させている。
◇話している最中に自分の言っていることがわからなくなってしまう
話しながらどんどん何を言っているのかわからなくなり、焦ってさらにドツボにはまる。そんな人に足りないのはきっと「論理力」だろう。
◇なぜか急に相手の機嫌を損ねてしまう
本来は使うべきではない「NGワード」を連発しているという可能性がある。自分の言葉づかいを一度、客観的にチェックしてみよう。
一方、話し方に自信がないわけではないけれど、どうも自分は軽く見られているように感じる、という人は、話し方以外に要因があるのかもしれない。
有名な「メラビアンの法則」によれば、人がメッセージを受け取る際の印象は、話の内容が1割、声の大きさや口調といった聴覚情報が4割弱、外見などの視覚情報が5割強なのだという。
つまり、話し方や話す内容以上に、見た目が影響を及ぼしている可能性があるのだ。
この特集では、しぐさや姿勢などの「非言語コミュニケーション」と、「どのような服装をすればいいのか」という2つの面から、「視覚的に軽く見られない方法」をお伝えしている。
今回、多くの達人の取材をし、さまざまなコツをうかがったが、どの方もその重要性を強調するポイントというものがいくつかあった。
そのうち3つのポイントを紹介しよう。
(1)自分がうまく話すより、相手目線に立って話す
自分が話すことで頭がいっぱいいっぱいになってしまい、相手のことを見る余裕がない、というような状況では、「大人の話し方」にはなり得ない。
もともと人は「わかりあえない関係」(出口汪氏)である以上、うまく話そうとするよりも、「どう伝えれば相手にわかりやすいか」を考えてから話したり、相手の反応を見ながら臨機応変に対応したりするほうが大事なのだ。
実際、一流になればなるほど、偉そうな態度を取ることなく、「相手の立場を考え、相手を喜ばせ、プラスになる話し方をしてくれる」(美月あきこ氏)という。
(2)尊敬できる人を見つけ、観察して学ぶ
やはり、多くの達人たちが共通して指摘するのが「モデルになる人」の重要性。「この人の話し方はいい、という人を見つけ、真似してみる」(梶原しげる氏)ことが、軽く見られないための第一歩となる。
モデルはもちろん、会社の尊敬する上司や先輩、あるいは他社のできるビジネスパーソンなどでもいいが、直接会ったことのない、テレビに出ているような著名人でもいい。テレビを通じてその人の話し方や振る舞いを観察することで、「そういう視点があれば、テレビドラマからも多くのことが学べる」(竹内一郎氏)からだ。
(3)自分を客観的に見るクセをつける
自分の話し方、そして言葉づかいはほんとうに正しいのか、人に不快感を与えていないかを、客観的に見るクセをつけることも重要。自分ではわかりにくいので、人に聞いてみたり、自分でレコーダーやビデオで撮り、それをチェックしてもいい。
それだけでなく、「鏡を見るクセをつける」(三好凛佳氏)ことも大事だ。忙しいなか、外見になんてこだわっていられない、という人も多いが、それで相手に軽く見られてしまっては元も子もない。
話し方や外見を磨くことで、自分に自信をつければ、最終的に理想とする話し方に近づけるはず。ぜひ、達人たちのワザを身につけていただきたい。
<今月号の読みどころ>
相手に自分の意思や思いを伝えることを苦手としている人は多いようです。とくにプレゼンにおいては、見た目や演出だけでなく、中身や情熱を誠実に伝えるかが大切といえます。ステレオタイプの表面的な物言いや心がこもっていない話し方では、相手はイライラをつのらせ、信頼を得ることは難しいでしょう。上手に話す人の言葉には力強い説得力があり、温かみにあふれています。そこで今月号では、相手の心に響き、仕事の成果に結びつく話し方について、ビジネス経験豊富なプロフェッションナルの方々にうかがいました。話し方ひとつで、相手の印象がガラリと変わるはずです。
更新:11月21日 00:05