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ビジネス効率性1位のデンマーク人が実践している「忙しいからこそ休む」働き方

2025年06月30日 公開

針貝有佳(デンマーク文化研究家)

国際競争力がトップクラスで、「ビジネス効率性」5年連続1位のデンマーク人は、「余白のある働き方」をとても大切にするという。「余白」がビジネスに何をもたらすのか?デンマーク在住のデンマーク文化研究家・針貝有佳さんにその意味と効果について解説して頂く。

※本稿は、針貝有佳著『デンマーク人はなぜ会議より3分の雑談を大切にするのか』(PHP研究所)より一部抜粋・編集したものです。

 

忙しいからこそ「ひと息」入れる

デンマークの組織や社会は「余白」を大切にしている。時間が空いているからと言って、予定を色々と詰め込まない。

ここぞ、というときには情熱的に頑張るけれど、ひと段落ついたら、必ず「ひと息」入れる。そして、チームのメンバーもしっかり「余白」を持てるように配慮する。

空いた時間には、親しい友人や親戚と過ごす以外にも、DIY、スポーツ、料理、読書、ミュージアム巡り、旅...人によってすることはそれぞれである。

ポイントは、忙しい日々のなかでも、別の活動をする「余白」を忘れないことだ。「余白」がチームにもたらす効用は、主に2つある。

1つは、余白があることによって、メンバーがエネルギーを充電できて、コミュニケーションが軽く楽しいものになる。

もう1つは、余白があることによって、メンバーが別の活動を通して得た情報・体験・アイデアをチームに持ち込んでくれる。

それぞれが「余白」を持てると、メンバーがポジティブなエネルギーとともに、最新の情報や体験を運び入れてくれて、チームも元気に成長できる。

 

ボランティア活動からエネルギーをもらう

労働組合運営管理局のトップとして働いているケネットは、毎年夏に開催される北欧最大のロックフェスであるロスキレフェスティバルのボランティアもしている。

ボランティアと言っても、単なるスタッフではなく、会場の一画を運営するプロジェクトリーダーである。6月のフェス開催のために、年間の膨大な時間を使って、ボランティアスタッフのチームを取りまとめてプロジェクトを動かす。

組織のトップとして責任ある仕事をこなし、2児のパパでもあり、忙しい日々を送っているはずなのに、なぜまた大きな責任のあるボランティア活動までするのか。不思議に思って尋ねてみると、こんな回答が返ってきた。

「たしかに、ボランティア活動にはすごく時間も使ってる。でも、僕は仕事以外の違う活動をすることでエネルギーをもらえるんだよ。たくさんの人と共同作業をして一緒に何かをつくりあげるっていう体験は、すごく楽しいんだよね」

ケネットがそんな話をしてくれたのは、ご夫婦で私を自宅に招待してくれた平日の夜だった。妻のカトリーネの帰宅時間が遅い日で、ケネットはエプロン姿で台所に立ち、前菜もメインも用意して素敵なディナーをご馳走してくれた。

いったいケネットのこのエネルギーはどこから来るのだろう。とても楽しいひとときだった。

 

クリエイティビティの源泉は「余白」

製薬会社ノボノルディスクは、社員が健康でバランスのとれた生活をしている方が、仕事のパフォーマンスも上がるという考え方をする。

ノボノルディスク日本法人の社長であるキャスパーは、自身の働き方を振り返っても、働きすぎない方が良い仕事ができると言う。

「週に60時間以上働いていた時期があるのですが、その頃は、ただ右から左にタスクをこなすだけになっていました。しかも、当時こなしていたタスクは、それほど大きな価値を生み出していたとは思えません」

その経験も踏まえて、キャスパーは、自分自身も社員もワークライフバランスのとれた「余白」のある生活をした方が良いと考える。

「社員があまり働きすぎないことは、会社にとっても良いことだと思います。私自身も働きすぎない方が、クリエイティブになれて、良いアイデアを思いつくんです。

それに、長時間働いている人よりも、趣味を楽しんでいる人と会うと、エネルギーをもらえます。趣味でバンド活動をしていたり、ワインや料理を学んでいたり、旅行をしたり、子どもたちと一緒に過ごす時間を大切にしていたり...」

彼によれば、クリエイティビティは、ビジネスパーソンにとっても重要である。

今日のように世界が刻一刻と変化する時代には、世の中の動きを見ながら、常に新たな道を開拓していかなければならない。どんな業種であれクリエイティビティは不可欠であり、その源泉は仕事以外の「余白」にあるのは言うまでもないだろう。

 

「いつもと違う活動」から、新たな世界が開ける

「脳は休むことによってクリエイティブになる。生産性が上がり、仕事も進む。休むからこそ、新しい知識を得ることもできるし、喜びを感じることもできる」

こういった考えから、デンマークの企業や自治体に週休3日制の導入を推進しているのは、テイクバックタイムという会社を経営するペニーレ・ガーデ・アビルゴーだ。

ペニーレによれば、時間を意識的に使い、日常にいつもと違う活動を入れることで、脳がクリエイティブになり、生産性がアップする。

週休3日制に抵抗がある企業には、週に1日「いつもと違う活動」を取り入れることを勧めている。たとえば、何らかの講座を受講したり、日常業務とは違う仕事をしてみるのも良い。

ちなみに、教師として働いている私の義姉ルイーセは、定期的に森を散歩する時間をつくって、散歩しながらポッドキャストを聴いている。その内容を、授業で話すネタや教材として活用することもある。

一見、仕事とは関係ない森の散歩時間のおかげで、話のネタや教材に困ることなく、自分も生徒も飽きない授業ができるのだ。

休むことに抵抗がある人は、このように、しなくても仕事は回るけれど、やった方が仕事のクオリティがアップするような活動を、1週間のルーティーンに組み込んでみると良さそうだ。

休むことに抵抗がない人は、ストレス発散になるような好きなことを思いっきり楽しむのもいい。スポーツを始めて健康的な生活を送れるようになるかもしれないし、趣味を通じて面白い人に出会えるかもしれない。

週に1回の「いつもと違う活動」から、新たな世界が開けるはずだ。

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