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SHOWROOM社長・前田裕二氏が語る「世界の富豪が巨額の寄付をする理由」

2020年09月24日 公開
2020年09月24日 更新

前田裕二(SHOWROOM代表取締役社長)

 

格差拡大の反動で「与える」行動が支持される

個人の働き方についても、新型コロナウイルスによって、変化が加速しているように思います。コロナ禍以前は、組織重視から個人重視へのシフトが進んでいました。若手のビジネスパーソンも、社内でのポジションよりも、自分自身の市場価値を意識するようになっていました。

相談される内容も、「どうしたらフォロワーが増えますか?」「どうしたら影響力を上げられますか?」といった、個のパワーに焦点を当てたものがほとんどでした。

もちろんこの流れは今後もしばらく続くでしょう。組織にこだわらず、起業や自営という形で働くという選択肢も、今以上にクローズアップされると思います。

しかし、コロナを受けて、中長期ではさらなる変化を予測しています。それは、利他的な働き方、他の人に「与える」働き方へのシフトです。個人重視の働き方は、あくまで「自分」が主語です。

自分の能力を誇示し、ライバルに先んじ、いち早くより大きな成功を手にしようという、独り勝ち志向につながりがちです。これは、最終的には、社会に大きな格差をもたらします。

今も、フォロワーの多い人と、そうでない人には、「個の力」という観点では明確な格差があり、しかもそれがどんどん可視化されているように思います。

映画の『ジョーカー』(トッド・フィリップス監督/2019年)や『パラサイト』(ポン・ジュノ監督/2019年)が大きな話題となったのは、競争社会が大きすぎる格差を生み、世の中にフラストレーションが増大しているからではないでしょうか。

お金の多寡、フォロワーの多寡で、本当にその人間の価値が決まるのでしょうか。否、そんなのは間違っている。そういった空気感が、まだ見ぬコロナの先に、待っている気がします。

コロナ禍において、経済格差は如実に際立ちました。特に米国では、経済状況によって新型コロナウイルスへの感染リスクや受けられる医療に差があることが明白になりました。

そのため、競争社会を勝ち抜いた人ではなく、利他的な行動を取る人が多くの人たちの支持を得るようになってきています。世界の富豪は、新型コロナウイルス対策に巨額の寄付を行ないました。

もちろん、彼らは心からの善意で寄付をしたのだと思いますが、多くの寄付をした結果、多くの人たちから支持され、さらに大きな影響力を持つことになっています。そしてその影響力を、また自分の愛する人々へ、還元していくわけです。

これからは、「どれだけ得たか」ではなく、「どれだけ与えたか」が成功の基準になるのだろうと思います。僕にはまるでコロナが、僕らに「もっと与えなさい」と言っているように思えて仕方がありません。

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