2018年12月15日 公開
2023年03月14日 更新
「他責にしないは100%」は、「悩みブレーキ」を外すためのステップ3に当たる。それに続くステップ4は「結果は選択できないが、行動は選択できる」だ。
「これは、私自身が、これまでに何度も救われてきた言葉です。
言われてみれば当たり前のことでしょう。宝くじを買うという行動は選択できますが、当選するという結果は選択できない。仕事も同じで、成功確率が高い方法を考えて、それを実行することはできますが、それで必ず成功するとは限りません。
しかし、当たり前のことなのに、なかなか受け入れられないのが人間です。必ず成功すると期待して、うまくいかなかったら落ち込む、という人が多い。ビジネスというものは全員が望むような成功をすることは難しい仕組みになっているのですから、いちいち落ち込んでいては、全力で仕事に取り組めず、成長が遅くなります。うまくいかなかったら、そのときのために用意しておいた対応策の実行に集中するべきです。
結果に意識や関心を囚われることなく、行動に集中することが、成長を速くするのです」
最後のステップ5として吉田氏が挙げるのが「関心の輪と影響の輪」だ。
「これはスティーブン・R・コヴィー氏の『7つの習慣』(キングベアー出版)に書かれているものです。自分がコントロールできる範囲が『影響の輪』、コントロールできないけれども関心がある範囲が『関心の輪』だと考えればいいでしょう。
例えば、『税金が高い』という悩みがあるとしましょう。それに対して文句を言うだけで、何も行動を取らないのであれば、それは『関心の輪』の中にある悩みです。しかし、議員や首相になることで税制を変えることを目指したり、市民運動を行なったり、あるいは税金の安い国に移住する計画を立てたりするのであれば、『影響の輪』の中にある悩みだということになります。
『影響の輪』の中にある悩みは、解消するための行動に全力で取り組めばいいのですが、問題は『関心の輪』の中にある悩みです。『関心の輪』の中に悩みがあると、『悩みブレーキ』がかかってしまいます。
ですから、悩みがあれば、それが『影響の輪』に入るのか『関心の輪』に入るのかを見極めること。そして、『関心の輪』に入るのであれば、考えないようにして、『関心の輪』の外に出しましょう。
理不尽な誹謗中傷も、つい気になってしまうものですが、『影響の輪』に入るものではありませんから、無視することです。同じく批判の声であっても、顧客の反応であれば、『影響の輪』に入ると捉えて、改善の努力をすべきです」
以上の五つのステップで、ある程度の時間はかかるものの、「悩みブレーキ」を外すことができる。しかし、「悩みブレーキ」が外れても成長できない人もいると、吉田氏は言う。それは、二つ目のブレーキである「大きな子供ブレーキ」を踏んでいるからだ。
「外見は大人になっても、子供っぽいところが残っている人は多くいます。
例えば、立派な経歴を持っていて、個人で仕事をすれば高い能力を発揮するのに、議論になると理屈よりも『自分は正しい』という気持ちが優先してしまい、チームをまとめられない人。子供っぽいプライドから抜け出せていないわけです。そのプライドが、成長を妨げています。
逆に、親が厳しすぎたことが一種のトラウマになっていて、他人に自分の意見を言えない人もいます。意見が言えないと、自分が考えていることが正しいのか、ピント外れなのか、他人に判断してもらえませんから、やはり成長できません。このケースは、子供の頃と今では環境が違うのだということを理解して、勇気を持ってトラウマから抜け出す必要があります。
こうした『大きな子供ブレーキ』を外す第一歩も、『悩みブレーキ』と同じで、存在を知ることです。『大きな子供ブレーキ』というものがあるのだということを知れば、自分がそれを踏んでいることに気づきやすくなるでしょう。
また、互いに指摘しあうのもいいと思います。『君はプライドが高すぎる』などと言うのは気が引けるかもしれませんが、愛情があればできるのではないでしょうか。また、職場で人事考課とは別に360度評価を取り入れて、互いに気づいたことを伝えあってもいいかもしれません」
更新:11月25日 00:05