2025年03月06日 公開
賃貸借契約を結ぶ際、ひと昔前は親族などが連帯保証人になることが多かったが、近年は家賃保証会社の利用が一般化している。入居者による家賃滞納が起こっても、立て替えてくれる仕組みだ。
四半世紀にわたって保証事業を展開してきたフォーシーズ(株)は、家賃の立て替え以外にも、不動産オーナーのリスクや不安を軽くしてくれるサービスを提供しているという。(取材・構成:林 加愛、写真撮影:長谷川博一)
――不動産投資に興味を持ちつつも、「業界の仕組みが理解しづらい」とためらう人は少なくありません。まずは、フォーシーズ(株)のような「保証会社」について教えていただけますか。
【丸山】はい、ご説明します。不動産投資の際に関わる「不動産会社」は、大きく分けて二つあります。
一つは、「仲介会社」。物件を紹介して契約を取り結ぶ会社です。二つ目は、購入後に入居者募集や物件メンテナンスなどを行う「管理会社」です。そして保証会社は、仲介会社や管理会社を介し、入居者様から委託を受けて「家賃債務保証」を行います。
――家賃債務保証とは、どのような仕組みなのでしょう。
【丸山】家賃滞納が起こった際の立て替え、いわゆる「肩代わり」です。オーナー様の多くはローンを組まれますから、家賃が滞ると返済がピンチになりますね。そんなとき、私どもが金融機関の3営業日以内に全額をお支払いします。
――それは安心ですね。オーナーの費用負担はありますか?
【丸山】オーナー様の費用負担はありません。入居者様からの委託を受けて保証をしますので、費用は入居者様にご負担いただきます。当社の場合で言うと、契約時に初回保証委託料をいただき、その後一年ごとに年間保証委託料をお支払いいただく仕組みです。
なお、我々の仕事は立て替えだけではなく、未払い時の交渉や訴訟に発展したときの手続き全般、立ち退き後の清掃や原状回復費の保証など、オーナー様が直接関わることが困難な局面を、すべてお引き受けしています。
「"人が煩わしいと思う事、やりたくないと思う事"を率先して行う事により、人々に喜びを与え、世紀を越えた社会貢献企業であり続けます」という企業理念の実現のためです。
――非常に手厚いですね。こうした家賃債務保証を行う会社は多いのでしょうか。フォーシーズ独自の特色についても教えてください。
【丸山】全国に、約300の保証会社があります。その中での当社の強みは、今述べたようなサポートに加え、何より大きいのは「保証が切れない」ことです。入居者様が破産されても、逮捕されても、死亡されたときでさえ、保証が終了することはありません。そうしたお困りの場面でこそ、保証が必要になるはずだからです。
――これまた安心です。ほかの会社では、このような場合に「切れる」ことも?
【丸山】会社によっては「こんなときは切れる」という条件付けがあります。入居者様の破産や逮捕、死亡のほか、管理会社の系列子会社の保証に入っていると、管理会社を変えると同時に保証が切れることも珍しくありません。
ですから、オーナー様が保証会社を選ばれる際には、保証内容の手厚さに加え、解除条件、つまり「このような事態になったら保証しません」という条件をよく確認されることをお勧めします。
仲介業者などに紹介された保証会社と契約されるオーナー様も多いのですが、保証会社の中には仲介業者に多額のキックバックを払っているケースも。過度なキックバックを設定していると、保証料の割に内容の質が高くない場合があります。
オーナー様にはぜひ情報を吟味していただいて、「手厚く切れにくい」保証会社を自ら選んでいただきたいと思います。
――御社はまさにそれに該当しますね。
【丸山】当社は不動産会社に営業を行う際も、オーナー様のための保証内容の手厚さを強調します。また、入居者様向けにも初回保証委託料や年間保証委託料の割引制度をご用意し、イニシャルコストやランニングコストを抑えられると喜んでいただいています。
こうした点に共感していただけず、キックバックの要求ばかりする不動産会社なら、無理に営業しなくていいからすぐ帰って来なさい、と営業担当者にも日頃から言っています(笑)。
結果的にお付き合いする不動産会社も、そうした不動産会社を利用されるオーナー様や入居者様も良心的でしっかりした方々になっていくので、当社のサービスも破綻することなく、健全な財務状況を維持しながら手厚い保証をご提供できているのです。
――社の姿勢を社員の皆さんにも徹底されている様子がうかがえます。人材教育に関してはどのような点に注力されていますか?
【丸山】教育の起点は採用にあります。当社では毎年数十名の採用を行っています。採用しない年があると、若手が後輩に教える機会が減り、ひいては成長機会の損失になります。採用は、今いる社員を育てるエンジンでもあるのです。
――今年5月には、本社を渋谷に移転されるそうですね。華やかな若者の街とあって、採用応募者にとっての魅力がさらに増すのではないでしょうか。
【丸山】どうでしょう(笑)。利便性を考えた結果の移転ですが、実は当社の社員のカラーは、さほど華やかではないのです。社が一貫して求める人材像は「真面目で実直」ですので。
――利用者の安心・安全を守る仕事には、確かに実直さが不可欠ですね。加えて、「経営者の視野」を持つ人材も求められているそうですが。
【丸山】これは数年来、採用サイト上で意識的に打ち出しています。長らく当社は、手厚い福利厚生を中心に伝えてきました。当社は確かに、有給休暇や産休育休をはじめ、セクシャルマイノリティの社員への配慮など、あらゆる人が働きやすい環境を整えています。
とはいえ、それが志望動機の第一事項になるのは望ましくありません。仕事自体に熱心に取り組み、広い視野を備え、社会貢献の意志を持つ人に来ていただきたいと考え、打ち出し方を変えました。
――研修に関しても、そうした転換はありますか?
【丸山】はい、あります。今年から新人研修で、「不動産の基礎の基礎」から教えることに注力しています。最初におっしゃった通り、この分野は仕組みが複雑で、用語も手続きも何かと難しいですね。それが最初のハードルとなって、ポテンシャルの高い人材が熱意を失ってしまうリスクがある、と気づきました。そこで、入口から丁寧に伴走する体制を整えた次第です。
――その中で育成された社員の皆さんもきっと、利用者の「難しい、わからない」に手厚く応えるプロへと成長されるのだろうと思います。
【丸山】そうなることを願っています。我々社員を育てる側も、日々試行錯誤です。社員とともに成長しつつ、今後も多くの方をお支えしていきたいですね。
更新:03月24日 00:05